レモンキャンディ





「さおり、サーティワンたべよ!」

30度も超える真夏日のお昼。

部活帰りでへとへとだった。


私とゆきは黒焦げにならないように端っこを選びながら学校から駅までの道を歩いていた。



「いいよー。本当に暑いねー。」


「そういえばさ、すごく気になってたんだけど、大矢くんとなんかあったの?」



唐突な質問だった。



「べつにー。」


「べつにってあんたさー、何にもなかったらなんでいきなり避けたりするの?」


そんなにわかりやすかったのかな、私。


「うーむ。避けてなんかないよ」


じーーーっとゆきが私の顔を覗き込む。

竜と似た真っ直ぐな目。



「まぁいいけど、私はさおりになんでも話してるのにさおりは私になんにもいってくれない!!」



そういってほっぺたを膨らます。


なんだかな、どうも苦手だな。


ゆきに隠し事してるって思ったらなんだかむずむずしてきた。








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