レモンキャンディ





「私、トイレいってくる。」



そういってそそくさと教室から出てしまった。



本当はトイレなんて行きたくないし、
本当はもっとあの場にいたかった。






「あ、えっとさおり。」



遠くで名前を呼ぶ声が聞こえるけど、
誰が私の名前を読んでいるのか見なくてもわかるので無視。



ヤツのいるほうと逆方向に歩く。




「まって、今朝はごめん。」



竜が私の肩をつかもうとするがむりやりそのまま歩き続ける。



「絶対にやだ!」


「ごめんったら、さおりーーー。」



廊下のみんなもなんだなんだとざわめく。



「大体ね、人の部屋に不用意に入るってこと自体が、、、」



そう言いかけて私は止まった。




いや、止まったというよりはぶつかった。






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