もっと君と   愛し合えたら
「いつもお一人ですね?」

とさっきから隣りで泳ぐ男性が声をかけてきた。

「あなたもお一人ですか?」

「自分のペースで進めますよね?」

私も同意見だった。

私は軽くうなづいて300mに入った。

彼も進んだ。

なぜかいつもよりリズミカルにスクロールする自分になっていた。

隣りで泳ぐ彼が私をそうさせるのかと思った。

彼のペースに合わせている自分に気づいた。

楽しかった。

あっという間に500mを切った。

「あと何mで上がりますか?」

「私はいつも1000mです。」

「そう、じゃ、あと500mですね?」

後半も二人がお互いに合わせるような泳ぎで進んだ。

ノンストップで500mは私にはきつかった。

彼は何ともないようだ。

私の息が荒いのを見て目で笑った。

私もつられて目で笑った。

彼はプールサイドに上がると私に手を差し伸べてくれた。

シャワー後にラウンジで会う約束をした。

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