ドジなメイドさん
「学校行くから休みくれって早くババアに知らせろ!」

「ですが…私はガッコウなどに行くよりもお手伝いをした方が……。」

「命令だ。いいから従え。」

「はい、仰せの通りに。」

そう、主の言うことは絶対。命令など従う以外ありえない。

「神月 柊音(こおづき しおん)。」

急に狼緋が言った。

「?」

「お前の名だ。覚えたか?柊音。」

「柊音…私の…名…!」

じぃーんと、何故か目の奥が熱くなる。

初めて、名を頂いた。本当は憧れていた。

名前も、学校というのも…けれど、私の家は代々麗北院家に仕えてきた。生まれた時から、礼儀だとか訓練とかをやらされ続けてきた。

名など必要ではなかったのだ。

けれど、初めてもらった。

だが、泣かない。そのような失礼ことはできない。

「では、メイド長と連絡を取って参ります。必礼します。
your Instruction michire 。」

頭を45度倒すと真っ白な手袋をはめ、ドアノブに手をかけ、白髪をなびかせて出ていった。
< 4 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop