お姫様はふたり
菜乃子はその足を止めようとしない。


これは自業自得なの?


圭を好きになったらダメだったの?


私、亮平に好かれちゃダメだったの?


意味わかんない。


すると突然、ピタッと菜乃子の動きが止まった。


「……え?…菜乃子…?」


カッターナイフを持っている右手が微かに震えている。


菜乃子が顔を上げた。


「あ…」


菜乃子の頬が濡れていた。


菜乃子はいつもの笑顔を浮かべていた。


「真琴…。私。私、自分が怖いよ」


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