お姫様はふたり
菜乃子の目からはどんどん涙が溢れでている。


ガシャン。


菜乃子の手からカッターナイフが落ちた。


そのせいで刃が折れていた。


「私、真琴に嫉妬してた。佐田に好かれている真琴が本当に羨ましかった。…でも、私が醜いせいで真琴を傷付けようとした…。私、最悪だよ…」


「菜乃子…」


私は菜乃子に抱き付いた。


「菜乃子は醜くなんかないよ。菜乃子は純粋に亮平のことを想ってたからそういう気持ちが生まれたんだよ。こうやって、言ってくれてよかった…。最近、菜乃子に会えてなかったから嫌われたんじゃないかって思ってて、怖かった」


「やっぱりどんなに真琴を憎んでも、私は真琴が好きなんだって。真琴、私を許して」


「もちろん!!」


菜乃子は花がパアッと咲いたように笑った。


< 115 / 182 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop