お姫様はふたり
圭はにこっと笑った。


そして手を差し出してきた。


私はその手を握る。


美音も握ったであろうその手を。


「…何か人少ないね」


横断歩道で信号待ちをしている間も手と手は離れなかった。


「休日の割には…。どこかでイベントでもやってるのかなー?」


「そうかも」


横断歩道で信号待ちをしている人は私たちしかいないっていうくらい人がいない。


珍しいけど、私にとってはうれしい。


圭くんと二人っきりでいるような感じがするから。


人の目を気にしなくていいし。


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