お姫様はふたり
「俺、地面に横たわってるとき、見たんだ。俺らが信号待ちしていたところを。そしたら…、そこに美音がいて…」


美音…。


久しぶりにその名前を聞いた。


「…どういうこと…?」


「…言いづらいけど…美音が押した…と思う。…真琴ちゃんが自分から飛び出すわけないし、俺は真琴ちゃんの背中を押す手を見てしまったんだ…」


…美音が…?


何で…?


何のために…?


怒りよりも先に疑問がきた。


美音…。


私はスマホを開くと、ある人に連絡を入れた。





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