お姫様はふたり
感情を剥き出しにする莢。


「…みこだって辛いよ…」


「そんなこと、思ってないでしょ?」


莢が妖艶に微笑む。


「だってあんたがやったんだろ?」


心臓が跳ね上がった。


「…は…?何言って…」


「羽崎くん。見たんだって。あんたが立ち去るところ」


思わず、目を見開いた。


「美音がそんな子だったなんて…」


わざとらしく嘆く莢。


「…みこは…みこは悪くない!!」


「はぁ?」


莢の低い声が返ってきた。


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