初恋
愛良の心のなかで

何かが変わっていることは

自分でもなんとなく

わかっていた...。

でもそれが何なのか、

恋をしたことのない愛良には

よくわからなかった。

でも...

気づいたの。

杏梨のこの一言で。

「ねえ愛良あ!?

手ぇ止まってる!

ちゃんと仕事して!!

喋ってばっかじゃん!」

「え...?」

確かにそうだ...。

愛良、最近、

ポスター書くより、

藍田と喋ることのほうが

楽しくなってる...。

っていうか、

演劇の一番の楽しみが

藍田と喋ることって言っても

いいくらい...。

そうやって考えていくうちに

愛良の中で藍田の存在は

どんどん大きくなっていった...。



あとから聞いた話なんだけど

杏梨は愛良が藍田に恋してるって

気づくずっとずっと前から

「愛良は藍田が好きなんだ」

って思ってたんだって。
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