AfterStory～彼女と彼の話～
待ち合わせしていた映画館で窃盗犯を捕まえ、被害にあった女性の恋人は俺の小学校のバスケ部の水瀬先輩だった。

水瀬先輩と恋人が事情聴取をする為に警察署に行かなければならなくて、沙紀を映画館で待たせたくないので来てもらい、女性のフォローも頼んだ。

一通りの事情聴取と荷物の返却が済んだのは午後８時で、映画を観ていたら中途半端な時間になりそうだから、今回は映画を諦めて俺の部屋で過ごすことに決め、沙紀も了承してくれたから安心する。

俺が住むマンションの近くにあるスーパーで買い出しをしていると有るものに目がとまり、先輩の言葉を思い出した。

沙紀に料理を作って貰ってばかりだし、少しは彼氏らしいことをしなくちゃと思って、沙紀に気づかれないようにある商品をこっそり買ってポケットの中にしまう。

映画も観ずにいたからお腹はかなり空いていて、沙紀はハンバーグを作ってくれて、２人で他愛ない話をしながら食べた。

「彰、バレンタインのチョコだよ」
「………ありがとう」

ソファに座って三毛猫を触っていたら、沙紀からチョコを貰い、やっぱ大切な人から貰うのが一番嬉しい。

丁寧に包装をほどいて、中に入っていたチョコを食べると、口のなかにアルコールが流れ、チョコとの相性もいいな。

「美味しい」

次々とチョコを食べる俺を沙紀は嬉しそうに見てたけど、少ししたらなんだか様子がおかしいことに気づく。

気になったので聞いてみれば、俺がチョコを貰ってたのかが気になったようで、不安がっているような表情をしているから、俺はきちんと断ったことを話した。

どうしたら沙紀の不安が無くなっていくのか考えてみて、俺は正直に貰って嬉しいと思えるのは沙紀だけだと伝えてみると、沙紀は嬉しそうに微笑むから、もっと色んな沙紀を見てみたいし、沙紀に触れたくなる。
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