AfterStory~彼女と彼の話~
「ありがとうございました」

 店員からチョコが入った紙袋を受け取り、次は海斗さんへのチョコを買うために、別のお店を見て回る。

 女性客に混じって男性もいたりと、最近のバレンタインって変わってきたなぁ。

 去年は手作りチョコをあげたけど、今年は〆切ラッシュが続いていたから手作りチョコは断念しちゃったけど、既製品でも海斗さんが喜んで貰えたら嬉しい。

 だらしなく緩む頬を周りに気付かれないようにするのが精一杯で、またチョコを探す。

 手作りチョコの味はほろ苦さがある物だったし、海斗さんも丁度良いと言っていたから、やっぱり今回もそっちの方向性かな。

 それぞれの洋菓子店に試食用のチョコが置かれているから、1つずつ食べてみようっと。

 ザクッとした食感ならクランチかなぁ…、あ、こっちのチョコはイチゴにホワイトチョコがかかってる…、こっちは抹茶味がする…、やばい、試食だけでお腹がはち切れそう。

 海斗さんへのチョコを選びに来てたのに、先にチョコでお腹いっぱいになってどうするの。

 海斗さんも漁の仕事で疲れも溜まっているだろうし、量を多めにしようかな。

「これかなぁ」

 試食を繰り返して、ほろ苦さ味のクランチチョコが沢山入っている物にして、早くバレンタインが来ないかなぁ。
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