AfterStory~彼女と彼の話~
 突然スマホが鳴り、閉じかけた瞼をパチリと開く。

 むくりと起き上がってベッドから降りて、バックにしまっているスマホを取り出すと、画面には幸雄さんの名前が表示されていて即通話ボタンを押した。

「もしもし」
『寝てた?ちょっと声が掠れてる』

 幸雄さんは、電話口で可笑しそうにクスッと笑っている。

『美空、明けましておめでとう』
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

 幸雄さんには見えないかもしれないけどお辞儀する。

『あのさ明日は何か予定が入ってる?』
「特には…」
『じゃあさ、明日は美空の部屋に行ってもいいかな?実家から餅を貰ったんだけど、一人じゃ食べ切れないし美空に会いたいんだ』

 冬なのに幸雄さんの『会いたいんだ』という言葉に胸がキュンっと高鳴ったのは嬉しいからで、同時に心も温かくなって、スマホを持つ力を込めて口を開く。

「私も幸雄さんに会いたいです。あの、買い出しをしたいので駅で待ち合わせをしてもいいですか?」
『うん、いいよ。お昼につけるようにするから。また明日ね』
「はい、分かりました」

 幸雄さんとの会話を終えてスマホをバックに入れたけどまた直ぐに取り出して、我が家のお雑煮の作り方をお母さんに教えて貰おう。

 幸雄さんに手料理を振る舞ったことがないし、お餅があるのなら焼くよりもお雑煮なら女子力というスキルを出せるかなと思って、早速お母さんに電話をして教えてもらった。

 掃除もしなくちゃだし、あ―…、下着も可愛いのにしとこうかな…。
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