AfterStory~彼女と彼の話~
「そんな風に言うのは反則です」
「正直な気持ちだ。いただきます」

 海斗さんがチョコを一粒口に入れて、ゆっくりと動かす。

「甘すぎなくて丁度いい」
「良かったぁ」

 その言葉を聞けて、選んだ甲斐があるし、ホッとする。

「普段は自分にチョコなんて買わないが、たまにはこういうのを食べるといいな」
「ご褒美チョコって、ことですね。私も徹夜が続くと、コンビニで小さなケーキを買って、食べますよ」
「そんなに徹夜をしてるのか?」
「締め切りが近いと続きますね」
「じゃあ、あんたにも」
「んっ…」

 私の唇に海斗さんの唇が重なり、遠のきそうな意識を保つために海斗さんの服をギュッと掴んだ。

 久しぶりに触れ合う唇に、からだ全体が喜んでいて、心の中で何度も海斗さんの名前を呼ぶ。

 スッと唇が離れると、海斗さんはうんっと優しい眼差しで私を見下ろしている。

「いつも頑張っているあんたに、ご褒美だ」
「んっ…」

 まさか海斗さんからご褒美を貰えるなんて、嬉しいな。






 The Kiss of reward for you.
 (愛のご褒美はとびきりのキスを)





 【九条麻衣×佐々原海斗の場合】
終わり









 →お次は【星野美空×水瀬幸雄の場合】へ
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