AfterStory~彼女と彼の話~
 名残惜しそうに唇が離れると、彰は私から傘を奪う。

「俺が差すよ」
「うん」

 駅前のタクシー乗り場でタクシーを捕まえて、そこから彰が住むマンションに向かおうという形になった。

 公園から出て、彰と相合傘をしながら駅前に向けて歩きだす。

「どんなご飯を食べたい?」
「泣いた理由、聞かないのか?」

 隣を歩く彰を見上げると、まだ瞳は赤くなっている。

「んー…彰から話したいと思った時に聞くよ」
「ありがとう」

 また彰の顔が近づいてくる。

「また誰かに見られちゃうよ?」
「こうしてれば、分からない」
「で―…」

 相合傘に隠れて、キスされた。

 これからも雨が降って傘をさすたびに、思い出しちゃうかもしれない。









  【東雲沙紀×南山彰の場合】終わり

→お次は吉野千明×鷹野玲二の場合

2016/6/30up
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