AfterStory~彼女と彼の話~
大晦日の夜、刑事課は俺一人しかいない。
ひったくり犯に手を挙げた罰として本来なら減給だったり降格処分なのに、刑事部長から言われたのは大晦日の夜勤を一人ですることだった。
『手を挙げたのは取り消せないが、私は君の正義は嫌いじゃないよ』
俺が手を挙げた事情に沙紀が関係してるのを刑事部長に伝えたら、刑事部長はこう言ったのだった。
俺と沙紀が付き合うきっかけの橋渡しをしたのは刑事部長と沙紀の上司で、一生頭があがらないな。
時計がもう少しで0時になろうとして、新年を迎えようとしている。
「このまま事件がないことを祈るばかりだな」
年末年始は至るところで事件が起こりやすいから、夜遅くまで刑事課に残るのが多いが、大晦日の夜勤は俺だけだ。
ま、仕方ないなと椅子に寄りかかり、外をぼやっとしながら見る。
「南山、お疲れさま」
「うわっ、何だよ」
肩を叩かれて驚いて振り向くと、沙紀がいた。
普段の沙紀は仕事中だと髪を束ねているけど、今はおろしているからプライベートモードだと分かる。
「夜食を持ってきたよ」
沙紀が紙袋を差し出しきたので、受け取る。
「コーヒーを入れるから、そこに座って」
「うん」
俺の席の隣に沙紀を座らせ、コーヒーを2つ作って、1つを沙紀に渡した。
「ありがとう」
「どういたしまして」
俺も席に座り、紙袋の中を見るとお弁当箱が入っている。
「これ手作り?」
「うん。早番で帰る時に、刑事部長が南山が夜勤だからって教えてくれたんだ。冷蔵庫の在り合わせだけど、コンビニより栄養はあるよ」
刑事部長…、心の中で刑事部長に感謝して、紙袋からお弁当箱を取り出して、蓋を開けるとどれも美味しそうな具が入っている。
「いただきます」
「どーぞ」
沙紀は嬉しそうに微笑み、俺は箸を持ってお弁当を食べ始めた。
お弁当の具は所々焦げているけど、手作りしたっていうのが分かるし、コンビニよりも旨いからあっという間に食べた。
「ご馳走さま」
「お粗末さまでした」
沙紀はホッとしている。
俺はお弁当箱を綺麗にして、紙袋に入れる。
「旨かったから、また作ってよ」
「うん」
沙紀が嬉しそうにはにかむから俺もフッと笑うと、時計から0時を告げる音が鳴った。
「明けましておめでとう」
「ああ、おめでとう」
俺は沙紀の髪を弄る。
「南山、誰かきちゃうよ?」
「今日は俺一人だけだし、大丈夫だ。それとさ、今は2人きりだから名前で呼んで欲しい」
俺の苗字で呼ぶのは警察学校から知り合っているから仕方ないけど、俺たち恋人同士だし、せめて2人きりの時は名前で呼んで欲しいのは我が儘だろうか。
「あ、彰…」
沙紀は小さな声で俺の名前を呼ぶと顔が赤くなっていて、心に愛しさが芽生える。
「ありがとう」
沙紀のおでこに、短いキスをした。
「沙紀、好きだ」
「んっ…」
今度は唇を重ねる。
好きで…、好きで、警察学校に入った時からずっと沙紀が好きで見てきた。
やっと掴んだ、好きな人。
やっと捕まえた、大切な人。
新しい年に願いを言う奴がいるが、俺はこう誓いをたてた。
沙紀をずっと守れるように
俺たちは朝を迎えるまで、刑事課で過ごした。
【南山彰side終わり】
→おまけ
ひったくり犯に手を挙げた罰として本来なら減給だったり降格処分なのに、刑事部長から言われたのは大晦日の夜勤を一人ですることだった。
『手を挙げたのは取り消せないが、私は君の正義は嫌いじゃないよ』
俺が手を挙げた事情に沙紀が関係してるのを刑事部長に伝えたら、刑事部長はこう言ったのだった。
俺と沙紀が付き合うきっかけの橋渡しをしたのは刑事部長と沙紀の上司で、一生頭があがらないな。
時計がもう少しで0時になろうとして、新年を迎えようとしている。
「このまま事件がないことを祈るばかりだな」
年末年始は至るところで事件が起こりやすいから、夜遅くまで刑事課に残るのが多いが、大晦日の夜勤は俺だけだ。
ま、仕方ないなと椅子に寄りかかり、外をぼやっとしながら見る。
「南山、お疲れさま」
「うわっ、何だよ」
肩を叩かれて驚いて振り向くと、沙紀がいた。
普段の沙紀は仕事中だと髪を束ねているけど、今はおろしているからプライベートモードだと分かる。
「夜食を持ってきたよ」
沙紀が紙袋を差し出しきたので、受け取る。
「コーヒーを入れるから、そこに座って」
「うん」
俺の席の隣に沙紀を座らせ、コーヒーを2つ作って、1つを沙紀に渡した。
「ありがとう」
「どういたしまして」
俺も席に座り、紙袋の中を見るとお弁当箱が入っている。
「これ手作り?」
「うん。早番で帰る時に、刑事部長が南山が夜勤だからって教えてくれたんだ。冷蔵庫の在り合わせだけど、コンビニより栄養はあるよ」
刑事部長…、心の中で刑事部長に感謝して、紙袋からお弁当箱を取り出して、蓋を開けるとどれも美味しそうな具が入っている。
「いただきます」
「どーぞ」
沙紀は嬉しそうに微笑み、俺は箸を持ってお弁当を食べ始めた。
お弁当の具は所々焦げているけど、手作りしたっていうのが分かるし、コンビニよりも旨いからあっという間に食べた。
「ご馳走さま」
「お粗末さまでした」
沙紀はホッとしている。
俺はお弁当箱を綺麗にして、紙袋に入れる。
「旨かったから、また作ってよ」
「うん」
沙紀が嬉しそうにはにかむから俺もフッと笑うと、時計から0時を告げる音が鳴った。
「明けましておめでとう」
「ああ、おめでとう」
俺は沙紀の髪を弄る。
「南山、誰かきちゃうよ?」
「今日は俺一人だけだし、大丈夫だ。それとさ、今は2人きりだから名前で呼んで欲しい」
俺の苗字で呼ぶのは警察学校から知り合っているから仕方ないけど、俺たち恋人同士だし、せめて2人きりの時は名前で呼んで欲しいのは我が儘だろうか。
「あ、彰…」
沙紀は小さな声で俺の名前を呼ぶと顔が赤くなっていて、心に愛しさが芽生える。
「ありがとう」
沙紀のおでこに、短いキスをした。
「沙紀、好きだ」
「んっ…」
今度は唇を重ねる。
好きで…、好きで、警察学校に入った時からずっと沙紀が好きで見てきた。
やっと掴んだ、好きな人。
やっと捕まえた、大切な人。
新しい年に願いを言う奴がいるが、俺はこう誓いをたてた。
沙紀をずっと守れるように
俺たちは朝を迎えるまで、刑事課で過ごした。
【南山彰side終わり】
→おまけ