AfterStory~彼女と彼の話~

├彼女が風邪を引きました(水瀬幸雄side)

【水瀬幸雄side】
彼女が風邪を引きました。


残業が続いたのと天候が悪かったのが重なって、俺は珍しく風邪を引いてしまったけど、美空がお見舞いにきて看病をしてくれたおかげで、すっかり体調が良くなり、週明けの月曜日から出勤した。

「おはよう。先週は休んでしまい、すまなかった」
「雪が降ったんですから、風邪を引いてしまいますよ」
「俺さ、雪だるまを撮ったけど、みんな面白い雪だるまをつくるよな」

ファッション部の皆は雪が降ったことが珍しかったのか、学生の頃は校庭で雪合戦をしたり、雪だるまを作っただので話が弾む。

1日休んでしまったから、その分を取り戻して、先にも進まなきゃな。
バックを置いて椅子に座って、原稿のチェックからやり始める。

黙読しながら誤字脱字がないか細かい所までチェックしてると、編集部のドアが開かれて総務課の木村が入ってきた。

 (木村か。珍しいな)

迷いなく俺の所に真っ直ぐ歩いてくるので、何か用かなと木村を見る。

「水瀬編集長宛の郵便物をお持ちしました」
「……ありがとう」
「失礼します」

普段は美空が郵便物を配布する役をしているのに、どうして木村なんだ?と、頭に?マークが浮かぶ。
当の木村は姫川の所に向かい、郵便物を姫川に渡すと編集部を出ていった。

木村に星野さんは?と聞きたかったけど、交際をしているのは内緒だし、変に詮索されたくないから聞けなかった。

また原稿に視線を戻して、赤ペンで訂正箇所に印をつけていくと、副編集長がきた。

「水瀬編集長、モデルの選定なんですが、いくつか履歴書を送付して貰ったので確認をお願いします」
「分かった。こっちの原稿、やり直し」
「はい…」

お互い書類を交換して、目を通し始めた。

 (後で在庫室に行って、美空がいるか覗いてみようかな)
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