AfterStory~彼女と彼の話~
南山が風邪を引いたと知ったのは、昨日の月曜日だった。
その日の夜、生活安全課のデスクワークを進めていると、1人の男性がスーパーの袋を手に持ちながらずかずかと入ってきた。
「東雲って奴はいるか?」
「私ですが」
手をそ~っと挙げると、男性は私の傍にきて袋を机の上にドサッと置く。
「これ、南山に渡せ」
「はい?」
「風邪を引いたって連絡がきたから、渡しておいてくれ」
「どうして私に?」
「俺は取調があるから忙しいんだよ」
「えっ、待って下さ…」
男性はぶっきらぼうな言い方をして、生活安全課を出ていく。
「山さん、被疑者が黙秘してはいてくれません」
「生ぬるいやり方がいけねぇんだよ」
廊下から男性の会話が聞こえて、あの人が南山にゲンコツを御見舞いした山さんなんだと、初めて理解した。
私はスーパーの袋の中身を、そっと見てみる。
「栄養ドリンク?」
他には梅干しと、漬物がそれぞれ入ったパックがあった。
先ずは南山の容態が気になるし、指でスマホの画面を弄ってメッセージを作る。
『風邪を引いたって、聞いたよ。渡したい物があるから、彰の所に行ってもいい?』
送信ボタンを押したら、すぐに返信がきた。
『ありがとう。住所は××市W地区3の4◎◎マンション2015室だ。入り口に来たら、名前を言えば入れる』
そのメッセージを受けて、公休日に初めて南山の住むマンションに来たのだ。
高層マンションに住んでいるなんて知らなかったし、初めは住所を虚偽申告して騙したのかと思ったけど(警察官だからそうしないか)、受付の人は南山の事を様付けで呼ぶし、部屋に入ればモデルルームですか?と突っ込みをしたくなるくらい、家具や家電がお洒落すぎる。
その日の夜、生活安全課のデスクワークを進めていると、1人の男性がスーパーの袋を手に持ちながらずかずかと入ってきた。
「東雲って奴はいるか?」
「私ですが」
手をそ~っと挙げると、男性は私の傍にきて袋を机の上にドサッと置く。
「これ、南山に渡せ」
「はい?」
「風邪を引いたって連絡がきたから、渡しておいてくれ」
「どうして私に?」
「俺は取調があるから忙しいんだよ」
「えっ、待って下さ…」
男性はぶっきらぼうな言い方をして、生活安全課を出ていく。
「山さん、被疑者が黙秘してはいてくれません」
「生ぬるいやり方がいけねぇんだよ」
廊下から男性の会話が聞こえて、あの人が南山にゲンコツを御見舞いした山さんなんだと、初めて理解した。
私はスーパーの袋の中身を、そっと見てみる。
「栄養ドリンク?」
他には梅干しと、漬物がそれぞれ入ったパックがあった。
先ずは南山の容態が気になるし、指でスマホの画面を弄ってメッセージを作る。
『風邪を引いたって、聞いたよ。渡したい物があるから、彰の所に行ってもいい?』
送信ボタンを押したら、すぐに返信がきた。
『ありがとう。住所は××市W地区3の4◎◎マンション2015室だ。入り口に来たら、名前を言えば入れる』
そのメッセージを受けて、公休日に初めて南山の住むマンションに来たのだ。
高層マンションに住んでいるなんて知らなかったし、初めは住所を虚偽申告して騙したのかと思ったけど(警察官だからそうしないか)、受付の人は南山の事を様付けで呼ぶし、部屋に入ればモデルルームですか?と突っ込みをしたくなるくらい、家具や家電がお洒落すぎる。