AfterStory~彼女と彼の話~
私は大切に花束を抱きしめると、海斗さんは最後のチョコを摘まむ。

「口、開けて」
「でも海斗さんにあげるた―…」

私の言葉を封じ込めるように、海斗さんはチョコを私の口に入れた。

私はびっくりしながらも、チョコを食べていくとほろ苦さが口の中に広がる。

「苦いですね」
「じゃあ、こうすればいい」
「んっ…」

海斗さんからキスをされ、熱を絡めあうと、口の中はほろ苦さから甘さに切り替わる。

何度も熱を絡めていくと、海斗さんは唇を離して、私の手を掴んだ。

「部屋に行くぞ」
「はい…」

2人で足早に海斗さんの部屋に行き、私は布団に組み敷かれ、バラの花束はすぐ傍に落ちた。

キスを交わしながら、海斗さんの大きな手が私の体を優しく触れていく。

「海斗さ…」
「好きだ」
「私も好…、んっ…」
「愛してる」

海斗さんの囁きはチョコのほろ苦さよりも甘く、傍にあるバラの香りが漂い、心が、体が疼いていく。

「んんっ」

キスをしているとまだ口の中にチョコの味が残っていて、唇を離すと、海斗さんはうんと色っぽく私を見下ろす。

「チョコ、美味かった」
「愛情たっぷり込めてますから」
「また来年、作って」
「勿論です」

私たちはチョコやバラの香りに負けないように、甘い甘い言葉を囁きあった。









大切な貴方だから、愛をいっぱい込めてます





【九条麻衣side終わり】




2015/2/3up

→お次は海斗目線
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