AfterStory～彼女と彼の話～
2月13日、今日は四つ葉出版社のバレンタインイベントの日。

私たち総務課は、３階の広い会議室でバレンタインイベントの飾り付けや机の配置の模様替えをしている。

「チョコの配置はこれで良いですか？」
「うん。これだけあると、豪華に見えるよね」

先輩と一緒に、机の上を眺める。

ホテルのビュッフェには負けちゃうかもしれないけど、それぞれの部署から預かったチョコを並べると、華やかだし、飲み会以外で他部署の人たちと食べることはないので、こうしたイベントっていいかもしれない。

「すごーい」
「早く食べよう」
「俺はあっちのにしてみようかな」

お昼休みになると他部署の人たちがぞろぞろと会議室に入ってきて、様々なチョコを食べ始める。

「いただきます」

私も一口食べてみるとチョコクランチで、ざくっとした食感が美味しい。

幸雄さんも姫川編集長と荒木編集長と会議室の端っこで、チョコを食べている。

　（３人ともチョコは好きなんだ）

仕事が忙しいから、甘いものを食べたくなるよね。

他にも駄菓子屋さんで売っているような小さなスティックチョコだったり、苺のチョコ、マカロンの中にチョコが入ってたりと、どれも美味しいから夢中になって食べる。

するとスマホが揺れたので画面を見てみると、幸雄さんからメッセージを受信していた。

『チョコ、食べすぎだよ』

ちらっと幸雄さんを見たら、にやりとしてる。

「………」

夢中になって食べているところを見なくてもいいのに、と訴えるように幸雄さんを見る。

「ごめんね」

幸雄さんは口パクで謝り、またチョコを食べる。

　（もう…）

私はちょっと拗ねながらチョコを食べ、明日はどのタイミングでチョコとネクタイを渡そうか考えてみる。

　（会って直ぐか、何処かのお店で落ち着いたときがいいかな）

帰ったら洋服のコーデも考えなきゃと、明日のことで頭がいっぱいになる。
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