AfterStory~彼女と彼の話~
2月13日、この日は四つ葉出版社のバレンタインイベントの日。
高坂さんの発案で行なわれるこのイベントは10年位になり、社員からは好評となっている。
最初はチョコの購入代金を福利厚生費から出されていたけど、俺の同期でスポーツ部の仁が編集長になった時に、『会社のお金で買ったチョコの味は好きじゃない』と言い、編集部だけは自腹として出すようになった。
部下達には福利厚生費ってごまかしているけど、皆が美味しそうに食べてるのを見て自腹もいいなと思った。
3階の広い会議室の端っこで、3人でチョコを食べ始める。
「締め切りで疲れてたから、甘い物はうめーな」
「俺も徹夜が続いてたし、チョコも良いよね」
「食べすぎは虫歯になるよ」
仁はチョコを3つだけしか食べなくて、後は皆が食べているのを眺めているだけにしていた。
俺は会議室を見渡すと、美空は総務課の人たちと夢中になってチョコを頬張っているのを見つけ、何だか小動物が食べているみたいで可笑しくなる。
スマホを取り出して、美空宛に『チョコ、食べすぎだよ』とメッセージを送ってみたら、美空は何かを訴えるように俺のことをじぃっと見つめてきた。
「……」
「ごめんね」
俺は声には出さないで謝ると、美空は拗ねた素振りをするから、これは明日のデートは美空の機嫌を損ねないようにしなきゃと思いながらチョコを食べた。
高坂さんの発案で行なわれるこのイベントは10年位になり、社員からは好評となっている。
最初はチョコの購入代金を福利厚生費から出されていたけど、俺の同期でスポーツ部の仁が編集長になった時に、『会社のお金で買ったチョコの味は好きじゃない』と言い、編集部だけは自腹として出すようになった。
部下達には福利厚生費ってごまかしているけど、皆が美味しそうに食べてるのを見て自腹もいいなと思った。
3階の広い会議室の端っこで、3人でチョコを食べ始める。
「締め切りで疲れてたから、甘い物はうめーな」
「俺も徹夜が続いてたし、チョコも良いよね」
「食べすぎは虫歯になるよ」
仁はチョコを3つだけしか食べなくて、後は皆が食べているのを眺めているだけにしていた。
俺は会議室を見渡すと、美空は総務課の人たちと夢中になってチョコを頬張っているのを見つけ、何だか小動物が食べているみたいで可笑しくなる。
スマホを取り出して、美空宛に『チョコ、食べすぎだよ』とメッセージを送ってみたら、美空は何かを訴えるように俺のことをじぃっと見つめてきた。
「……」
「ごめんね」
俺は声には出さないで謝ると、美空は拗ねた素振りをするから、これは明日のデートは美空の機嫌を損ねないようにしなきゃと思いながらチョコを食べた。