AfterStory~彼女と彼の話~
2月14日、今日は美空とデートの日だ。

服装はラフすぎないようにネルシャツはやめて、ストライプ柄のYシャツに黒のジャケット、デニムというコーデにしてみる。

「ホテルのチェックイン前までは映画を観て、軽く食事でもしてみるかな」

電車に揺られながら、今日の流れを確認する。

いつも俺が忙しくてランチは一緒にしているけどそれは仕事中だし、今日はたっぷりと時間があるし、ホテルに連れていったら美空がどんな風に反応するのか楽しみだ。

「美空、お待たせ」

待ち合わせに向かうと今日も美空の服装は可愛いなと緩む頬を堪えながら、先ずは映画館に向かった。

普段は仕事柄ファッションの流行を知りたいので、女優が出る恋愛物の映画を観ていて、時間的にも恋愛物が観れそうだったので、この映画館のキップを購入する。

客席に荷物を置いて、売店に飲み物とポップコーンを買って戻ったら、美空の様子がおかしい。

「美空、どうしたの?」
「えっと…、その…」

俺は口ごもる美空にちゃんと話して欲しいと論すと、美空は俺に渡すために用意をしたチョコとネクタイが入った袋が無いと言った。

 (チョコ、用意をしていたんだ)

期待をしてなかったとは全くなくて、この日の為にチョコとネクタイを選んでくれたのが嬉しくて、美空に対する愛しい気持ちが募っていく。

「先ずは映画館の受付にいこう」
「はい」

美空の表情は待ち合わせで見せてくれた笑顔から一気に青ざめていて、俺は早く笑顔に戻って欲しいと思い、美空と一緒に受付に行って事情を話そうと向かった。

「離せよ!」
「いい加減、観念しろって!!」

すると受付付近が騒がしくて何があったかと思ったら、私服の男が黒のジャンパーを着た男を取り押さえて一悶着している。

美空は黒のジャンパーを着ている男がチョコとネクタイが入った袋を持っていると気づき、騒ぎを聞きつけた交番の警察官たちがやってきて、俺たちは事情聴取を受けるために警察署にいくことになった。
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