AfterStory~彼女と彼の話~
子供じみたような嫉妬があるのって、カッコ悪いな。

「沙紀のそういう反応が浮かんだから、俺は断った」
「そうなの?」
「義理チョコでもいいから受け取って欲しいとか、そういう押し付け的な物は嫌だし、貰っても一ミリも嬉しくない。嬉しいと思えるのは、沙紀だけだ」

南山のストレートな気持ちを聞けて、私は絶対ニヤニヤしているに違いない。

 (だってとても嬉しいんだもの)

私だけって、私は南山の彼女なんだって改めてそう思えて、心が熱くなる。

南山は私の腕を取ると、隣に座るように引き寄せた。

「沙紀、口を開けて」

そっと口を開けるとアルコール入りチョコを1つ入れられて、噛むとチョコからアルコールが広がり、普段食べるチョコとは違う大人のチョコの味がする。

「美味しいか?」
「……」

まだ口のなかにアルコールがあるから、黙ってうんうんと頷く。

「俺も一口ちょうだい」
「んっ…」

南山の唇が重なり、熱で中を絡ませるとアルコールは熱をつたって南山の口に流れていく。

南山はゴクリとアルコールを飲みながらも唇を離すことをせずに、私の背中に腕を回し体を密着させた。

「ふっ…、んっ…」

意識が飛んでしまいそうなくらいキスの味は大人びていて、アルコールなのか、それとも南山から与えられている熱の籠ったキスなのか、きっと後者だけど頭よりも体が、心が南山を感じている。

「沙紀、沙紀…」
「んっ…、あき…」

口のなかにあるチョコとアルコールはもうとっくに無くなっていて、それでも私たちは夢中になってキスを続けていると、私はゆっくりとソファに倒されて、足を撫でられた。

 (まっ、待って…)

キスよりもその先にいきそうな雰囲気に心の準備が出来ていなくて、南山の胸をストップをかけるように手で叩いて唇を離す。

「どうした?」
「えっと…、心の準備が…」

頬が熱くなるのが分かりながら、南山に自分の状況を伝える。
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