AfterStory~彼女と彼の話~
「っ…、ぁ…、あき…ら」
「沙紀、沙紀っ」

広いベッドが軋む度にお互いの名前を呼びあって、触れあって、あんなに不安がっていたのが嘘のように消えていく。

彰の手が触れてくる度に体も、心も、つま先までに熱を持ちはじめ、チョコのように溶けてしまいそうだ。

「んっ…、あっ、んん…」

意識が飛んでいきそうでシーツをギュッと握ると、彰は手を重ねてまた強く動き出して、ベッドの軋む音も強くなって部屋に響いていく。

「彰…、やっ……」
「悪い、止まりそうにない」

彰を見上げると、額に汗を流しながら必死に堪えていて、それにまた胸がキュンとなる。

「沙紀、好きだ」
「私も好―…」

"き"って言いたかったのに、キスで塞がれ、口内で熱を絡めていくと、ほんの少しだけさっきのチョコの味がした。

またそれが私たちに刺激を与え、彰は体をより密着させて高みを目指すようにスパートをかけていく。

「っ…、彰、駄目…」
「駄目っていう顔はしてないぞ」

どんな顔をしてるのって聞きたいけど頭の中が白くなりそうで、必死に彰の背中に抱きついていくけど、彰の動きはゆっくりにならずにどんどん上がっていく。

「っ!!」
「沙紀!」

頭の中が弾けると同時に彰に呼ばれ、瞼を閉じるほんの数秒前にだけ彰が私を愛しいように見ているのが分かり、それに幸せを感じながら意識を手放した。
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