君のため
3人揃って登校したのはいつぶりかな?
家を出て数分。
お兄ちゃんと翔樹はじゃれながら歩いていた。
もぉ…いくつなのよ(笑)
あたしは後ろからその様子を微笑ましく見ていた。
そのとき、後ろから騒がしい足音が聞こえてきた。
「おはよー!!」
うしろから何人かの女子が声をかけてきた。
「あ…おはよ」
「一緒に行こ?」
「う、うん…」
気乗りしないな。
今日は3人で登校したかったのに…
「ねえねえ!あの2人ってかこちゃんのお兄さんと弟さんだよね??」
「かっこいい~♡いいなぁ、こんなかっこいい兄弟と住めるなんて」
やっぱりお兄ちゃんと翔樹ねらいだ。
「そうかな…普通だと思うけど」
あたしは苦笑い。
「もぉ~、かこちゃんは贅沢だなぁ」
グループの中で1番かわいい秋が言ってきた。
「あ、今度紹介してよ!!あの2人に!」
きた。毎日のように言われる言葉だ。
「あ…うん!わかった♪」
わざとらしく明るく言った。
「やった♪」
秋は可愛い笑顔で笑いかけてきた。
…こういうのに男子は弱いんだろうなと思う。
「じゃあ、今日かこちゃんの家にいくね?」
「わかった♪」
まわりからずるいなどとブーイング。
まぁ気にしない。
と、そんな話をしていたら学校についてしまった。
結局、3人で登校できなかったな…
「かこ!行ってくるわ!」
お兄ちゃんと翔樹。
「ばいばい!」
あたしは精一杯の笑顔で言う。
「いーな。あたしたちもばいばいしたい~」
はぁ…鬱陶しい。
早くこの場を離れたかった。
「あ、あたし3組だからもぉ行くね?」
といい、そそくさとその場を去った。