On My Beat
Beat#2 longing
80年代から90年代に掛けて日本中には様々な音楽が溢れていた。煌びやかなミラーボールの下で踊りまくる若者達。今や死語になった『ディスコ』である。またこの頃はアイドルの豊作時期とも言われ、素人さんがアイドル気取りで番組に出演するなどどこのチャンネルでも人形のような笑顔のアイドルに出会うことが出来た。
当時小学生だった僕は学校から帰ると真っ先に、近所の空き地へ行くのが日課だった。
「昨日、愛ちゃん見た?」「いや・・」「なんだよ、お前見てないの?すげ~可愛かったのに」 友達の真君はそういいながら自転車を動かしてサッカーのゴールらしき物を作っていた。
「アイドルの歌なんてどこがいい?」僕が言うと同時に「俺も可愛いと思うけど・・」といつの間にか隣に居た晃君が言う。<うちの兄ちゃんが聞いてる歌のほうがかっこいいのに>僕にはそう思えた。兄ちゃんが聞いてる歌。当時は不良の代名詞とも言われたエレキギターと腹の底から震えるドラムの音が印象的なROCKであった。不良の代名詞とも言われたギターだったが幸いうちの父親は変なところに理解があった。7つ歳が違い当時高校生だった兄ちゃんが、ちょっとでも帰りが遅いと「暴走族なんかと付き合ってバイクに乗ってるんじゃないか?」と母にあたりちらしていた。携帯電話も無い時代、連絡は一方的にしか出来なかったので父にしてみれば不安でしょうがなかったんだろう。そんな奴らと遊ぶぐらいならギターでも弾いていたほうがよっぽど安心だ。と訳のわからない解釈でエレキギターが我が家では更正手段のような扱いだった。
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