On My Beat
Beat#3 surprise
 ギュイ~ン!!ギャ~ン!隣の部屋から女性の悲鳴のような音が聞こえた。ギターだ。「兄ちゃんの部屋へ行ってくる」夕飯の支度をする母に告げるとベランダへ飛び出した。当時は社宅に住んでいたが6畳二間では一家4人が暮らすには狭すぎた。また、兄ちゃんの勉強の邪魔を僕がしないようにと、兄ちゃんが中学生のときに母屋?の隣にもう一部屋借りて兄ちゃん専用の部屋になっていた。「兄ちゃん開けて!」ベランダの窓を叩くと兄ちゃんが振り返った。「涼、弾いてみるか?」「いいの?」いつもはギターに触っただけでも怒るのに今日はご機嫌らしい。「今日はいいことがあったんだ」「どうしたの?」小学生にはまだ重過ぎるギターを抱える僕を横目に、兄ちゃんは押入れの奥からタバコを出し、ゆっくりとわざとらしく煙を吸い込んだ。「兄ちゃんタバコ・・父ちゃんに怒られ・・」おそるおそる言いかけた僕の言葉をさえぎるように言った。「LIVEの日程が決まったんだ」「ライブって?それ何?」「バ~カ、コンサートだよ。兄ちゃん達がやるんだ」「コンサート!?すげ~アイドルみたいじゃん」叫ぶ僕の頭を軽くはたきながら「バッカ野郎アイドルじゃねーよ。ROCKだぜ」 自慢げな兄ちゃんの顔は蛍光灯に照らされていつもよりかっこ良く見えた。
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