俺のバカな後輩


「……そこは嘘でも茶色って言うんじゃないの?」


聞き返せば、え?と少し考えた後、目を見開く。



「功希、この雑誌読んだの!?」


「そこに開いて置いてあれば嫌でも目に入る」


「知ってて灰色って言ったの……?」



大きく見開かれた目に潤んだ涙は、部屋の電気に反射してキラキラと輝いている。


「『気にくわない相手』ってやつ?」



そう聞けば、頷きの代わりにぽとりと涙がこぼれた。

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