古本屋のあにき
幸い涼介は、命を取り留めた。後遺症も出ないだろうと言われた。でも、少し長い入院が必要だった。今は薬で眠っている。たくさんの看護婦さんが涼介のそばにいた。
少し薄暗くなってきた夕方ごろ、看護婦さんが来た。
「今日はもう目を覚ましませんよ。また明日いらっしゃってください」
半分追い出されるように病院を出た健は、このまま家に帰ることもできず、古本屋に向かった。
いつもならこの時間、明かりがついているはずの店内は真っ暗だった。
近所のおじさんたちが本を横に避けてくれたんだろう。本は積みあがっている。
何冊かは涼介の血でドロドロになっている。今日の恐ろしい出来事が全部夢だったら……と思いながら、健は本の整理を始めた。
もう売れない本、修理すれば何とかなりそうな本、無傷の本。
携帯が鳴る。親だ。
誰かに今日の事故のことを聞いたらしい。
本を何とかしたいという思いを正直に伝え、明日学校を休みたいと言った。怒られると思ったが、怒るより、健や涼介の体の心配ばかりしてくれた。親ってありがたいなと、この時初めて思った。
涼介にはそんな両親はもういないんだ……涼介が大学を辞めてまでこの店を守りたかった気持ちがようやく分かった。そんな、涼介の大切な店で起こった今日の事故は、自分のせいだと思わずにはいられなかった。
悔やむ言葉しか見つからない。涼介に合わせる顔がない……。
涼介が入院している間、健は毎日学校帰りに古本屋に寄った。
修理できる本を修理し、危ない棚を撤去して解体した。その棚にあった本をどうしたらいいかわからず、レジの横に積み上げた。
いろいろやっていたら、レジの横の電話が鳴った。
電話の相手は本を注文した人だった。こればかりは涼介に聞かないとわからない。電話の相手にはもう2,3日待ってくれと伝え、涼介の入院する病院に行く決心をした。
少し薄暗くなってきた夕方ごろ、看護婦さんが来た。
「今日はもう目を覚ましませんよ。また明日いらっしゃってください」
半分追い出されるように病院を出た健は、このまま家に帰ることもできず、古本屋に向かった。
いつもならこの時間、明かりがついているはずの店内は真っ暗だった。
近所のおじさんたちが本を横に避けてくれたんだろう。本は積みあがっている。
何冊かは涼介の血でドロドロになっている。今日の恐ろしい出来事が全部夢だったら……と思いながら、健は本の整理を始めた。
もう売れない本、修理すれば何とかなりそうな本、無傷の本。
携帯が鳴る。親だ。
誰かに今日の事故のことを聞いたらしい。
本を何とかしたいという思いを正直に伝え、明日学校を休みたいと言った。怒られると思ったが、怒るより、健や涼介の体の心配ばかりしてくれた。親ってありがたいなと、この時初めて思った。
涼介にはそんな両親はもういないんだ……涼介が大学を辞めてまでこの店を守りたかった気持ちがようやく分かった。そんな、涼介の大切な店で起こった今日の事故は、自分のせいだと思わずにはいられなかった。
悔やむ言葉しか見つからない。涼介に合わせる顔がない……。
涼介が入院している間、健は毎日学校帰りに古本屋に寄った。
修理できる本を修理し、危ない棚を撤去して解体した。その棚にあった本をどうしたらいいかわからず、レジの横に積み上げた。
いろいろやっていたら、レジの横の電話が鳴った。
電話の相手は本を注文した人だった。こればかりは涼介に聞かないとわからない。電話の相手にはもう2,3日待ってくれと伝え、涼介の入院する病院に行く決心をした。