星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】





理佳、久しぶり。

松岡住職に言われるまで気付けなかった。
最近の俺、思いつめてたのかな?


隆雪が事故にあって、
Ansyalが俺の肩に乗っかって
知らない間に余裕をなくしてた?







小さく呟くように理佳に話しかけながら、
声にだすのを途中でやめる。


知らない間にじゃない。

余裕がなくなってるのを知ってた。
だけど……その事実に蓋をした。


蓋をしなければ、動き出せなくなりそうで
それが嫌だったから。



だけど……百花ちゃんと過ごすようになって、
彼女と過ごす時間だけは、
力を抜くことが出来るようになってきた。




彼女と過ごす時間は……
心が穏やかになって、無駄な力を抜くことが出来る。







理佳……、
今、一人の女の子が気になってる。

その子はなんか……
お前に良く似てるんだ。

お前に似てて……少しほっとけなくなる。


何時もは、理佳のことを思いながら過ごす
この日だけど……今日は帰るよ。

彼女の家族も、
此処の何処かに眠ってるみたいなんだ。


じゃあな、また来るよ





最後に手を合わせた後、俺は駐車場へと戻り、
愛車を走らせながらスタジオへと戻る。


スタジオには珍しく、雪貴が顔を出し
祈と二人、ギターを合わせながら、
来年の新曲準備に取り掛かってるようだった。



「あっ、託実さんお疲れ様です」

「お疲れ様です」


ガラス越しに俺の姿を捉えた二人は、
お辞儀をしながら声をかける。


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