星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
*
理佳、久しぶり。
松岡住職に言われるまで気付けなかった。
最近の俺、思いつめてたのかな?
隆雪が事故にあって、
Ansyalが俺の肩に乗っかって
知らない間に余裕をなくしてた?
*
小さく呟くように理佳に話しかけながら、
声にだすのを途中でやめる。
知らない間にじゃない。
余裕がなくなってるのを知ってた。
だけど……その事実に蓋をした。
蓋をしなければ、動き出せなくなりそうで
それが嫌だったから。
だけど……百花ちゃんと過ごすようになって、
彼女と過ごす時間だけは、
力を抜くことが出来るようになってきた。
彼女と過ごす時間は……
心が穏やかになって、無駄な力を抜くことが出来る。
*
理佳……、
今、一人の女の子が気になってる。
その子はなんか……
お前に良く似てるんだ。
お前に似てて……少しほっとけなくなる。
何時もは、理佳のことを思いながら過ごす
この日だけど……今日は帰るよ。
彼女の家族も、
此処の何処かに眠ってるみたいなんだ。
じゃあな、また来るよ
*
最後に手を合わせた後、俺は駐車場へと戻り、
愛車を走らせながらスタジオへと戻る。
スタジオには珍しく、雪貴が顔を出し
祈と二人、ギターを合わせながら、
来年の新曲準備に取り掛かってるようだった。
「あっ、託実さんお疲れ様です」
「お疲れ様です」
ガラス越しに俺の姿を捉えた二人は、
お辞儀をしながら声をかける。