星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】



やっぱり……遊び?……



ずっと根底にわだかまってた想いが、
とうとう涙腺を崩壊させてしまって、
私は涙を溢れさせていく。




「百花ちゃん……」





何時の間にか向かい側の椅子から立ち上がって私の背後に回っていた
託実の腕が、私を包み込む。


背後から優しい託実の声が降ってくる。




「俺には確かに……想ってた人が居る。
 その人が俺の心から消えることはないと思う」


終わりにしよう……。


そう告げられる託実の声が脳裏に浮かびあがる。




その言葉を聴きたくなくて、逃げ出すようにその場から立ち上がって
ドアの方へ向かおうとする私を、託実の腕が力強く私の腕を捉えた。



身動きが出来なくってパニックになる私に、
突然、託実の唇が重なっていく。



真っ白になって、全身の力が抜けた時、
傾いだ体を託実が抱き留めてくれた。


そのままお姫様抱っこで運ばれていくのは、
奥の広いベッド。




私の体は託実によって、
そのベッドへと横にされる。




「百花ちゃん……俺から逃げないで。

 確かに、俺には大切な人が居た。
 だけどその人は、もうこの世に居ない。

 百花ちゃんのことも……真剣だから……」





そう言うと託実は、再び私の唇に自らの唇を重ねた。


啄むように、
何度も何度も角度を変えて口づけられるキス。




「百花ちゃん……抱いてもいい?」



問われるままにゆっくりと頷くと、
さっきよりも激しく、託実のキスは降り注ぎ……
服の上から……胸を両手で揉みしだかれていく。


時折、電気が走ったようにピクピクと反応する体に翻弄されながら、
託実との初めての夜は、過ぎていく。




翌朝、託実の腕枕に包まれて目覚めた私は、
昨夜の痛みを感じながらも、凄く幸せな時間に包まれてた。





託実の大切な人が誰だって構わない。





だけど……託実が想ってくれる想い人に私がなれたら……。




そんな夢のような現実が、
少し昨日より近づいた気がした。

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