星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】


Ansyalとして予定されていたスケジュールは、
全て白紙に戻った。

その関係者先に、
会長たちと一緒について謝罪にまわる。

秋から冬にかけてレコーディングで完成させたアルバムも、
発売日を見送った。

Ansyalが事務所に与えた損害は大きいけれど、
それでも、宝珠姉さんたちはAnsyalを守り続ける。



そんな好意に少しでも報いたくて、
俺自身の時間を少しでも動かしたくて、
俺は一人、羚にに誘われるまま、怜さんが愛したSHADEの
メモリアルツアーのメンバーの一人として、LIVEハウスを巡り続ける。


夏に販売されたSHADEのカバーアルバム。

怜さんを慕って集まった仲間たちと一緒に、
ツアーを回る時間が、今ある問題から俺を解放してくれる。


忙しさが、今の俺を突き動かしてくれる。


LIVEの合間、
時間を見つけて向かうのは理佳の眠る場所。


それでも逢いたい存在には逢えないまま、
時間だけが過ぎて、
目まぐるしいままに季節は春を迎えようとしていた。
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