星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
*
映し出された寺院。
真っ黒な服に身を包んで、
ズラリと出来た行列。
AnsyalのTaka急逝
●●寺より生中継
っと遠慮気に綴られた字幕。
『ファンの皆さん、大勢集まっていますね。
長谷川さん、この列は何処まで続いているんでしょうか?』
『えぇ、この行列は最後尾が見えないほどファンの列が続いています。
昨夜のAnsyalの、二人のTakaの公表以来、
ファンの方にもパニックした様子が見られています。
私が朝、8時頃に話しを聞いた方の中には
いてもたっても溜まらなくなって、夜行バスに飛び乗って上京されたのだと答えてくれたファンの方。
気が付いたら、此処に友達と居たと答えてくださったファンの方がいらっしゃいました』
『今も続々と、AnsyalのTakaを慕って訪れるファンの列。
SHADEの佐喜嶋怜の告別式の日を連想させます。
さて、セレモニーホール側はいかかでしょうか?』
『はいっ。
こちら、AnsyalのTakaさんの告別式が行われている会場前です。
ファンの献花の列は、今もたえることがありません。
ファンの一人一人は、今も事務所サイドより準備された一輪の花を関係者から受け取っては
中央祭壇に献花が行われています。
建物の内部では、先ほどTakaさんを送り出すAnsyalの演奏が終わった頃です。
この後、最後のお別れをして出棺となる予定です』
TVの中の映像は、
別次元であまりにも遠すぎて。
映像は引き続き、先日の記者会見の映像へと切り返される。
喪服に身を包んで、
疲れた表情で、マイクに向かって淡々と話す託実。
今後のAnsyalの活動。
二人のTakaの話。
……どうして……。
自らの心を完全に置き去りにしたように
話し続ける託実の目には何も映し出していないように思えて。
それと同時に、脳裏に親友の唯香を思い出す。
AnsyalのTakaが急逝って。
唯香……。
慌てて唯香の携帯へと電話をかけるものの
唯香とも連絡がつく気配がない。
会場は?
私も行かなきゃっ。