星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
そこには、まだ幼い時間のままの理佳姉が
無邪気に笑ってた。
そう……写真の中のお姉ちゃんは
妹みたいに……小さくて。
お姉ちゃん……。
「何で……何で……
お姉ちゃんばっかり……」
涙腺が崩壊し流れ続ける涙は
せき止めるものも
何もなくて地面を濡らしていく。
「なんで?どうして?
いっつも、酷いよ。
ずるいよ。
私が欲しいものばっかり
ずっと手に入れて」
手に入れてさ……。
「託実は……託実は私の光なんだよ」
そう。
託実は私の光。
託実が居たから、託実が音楽を通して
Ansyalとして私を支えてくれたから
今の私は、この世界にしがみ付いていられるの。
「託実は私の光なの……。
ただ……病気って言葉に縛られて
ベッドの上で、いつも前を向こうとしなかった。
お姉ちゃん……なんて、
病気の自分に溺れてただけじゃない?
そうやって、逃げてただけじゃない。
独り占めにして」
……独り占めにして……。
ずっと……ずっと寂しかった。
寂しかったの。
そんな……
「そんな……私の気持ちなんて何一つ届かない。
ただ……」
ただただ私も愛して欲しかっただけ。
幼い私の願いは一つだけ。
「私も見て欲しかったの……。
ただ……簡単なそれだけだったのに。
そんな夢も適わなかった。
憎みたいんじゃない。
お姉ちゃんを恨み続ける私なんて大嫌い。
だから自分の意思で願掛けして、
お姉ちゃんにお父さんたちをプレゼントしようって。
もう私自身が傷つかなくていいように。
そうでもしないと私が壊れちゃう。
私が崩れちゃう。
そんな暗闇ばかりの時間に、
Ansyalだけが優しかったんだよ」