星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
そう……あの日……。
Ansyalのサウンドが
星空の下に羽根となって降り注いだ
野外LIVEで。
あれ以来……私は託実が好きで
託実を追いかけて……託実の夢を見続けた。
適わない夢でも良かった。
夢って言葉に浸れるだけで人として空っぽの自分を
満たすことが出来たから。
それが例え、偽りのものだとしても。
「託実は……託実は優しかったの……。
私の暗闇……
託実だけが光なの。
唯一の……だから……」
だから……託実を返して……。
託実の心まで、
そっちに連れて行かないで。
お願いだから。
託実だけは……私が手を伸ばしたら
触れられる場所に居て欲しいの。
居て欲しいの。
「だから……理佳姉、
私から託実を奪い取らないでっ!!」
叫び続ける私の体を
背後から抱きしめる腕。
いやっ。
触らないでっ!!
もう……誰も触れないで。
私が……壊れてしまうから。
腕の中、もかきながら体が激しく痙攣して
固まっていくのを感じる。
息が出来なくなる。
その直後……、鈍い痛みと共に
あたりが真っ暗になって体が崩れ落ちていくのを感じた。
……託実……
今の暗闇から助け出して……。