星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】


「託実さん。
 
 この曲……昔、理佳さんに送ったって言う
 (星空と君の手)ですよね」



雪貴の言葉に静かに頷く。



「雪貴、今は活動休止中のAnsyalだけど
 俺は、解散させる積もりはないよ。

 Ansyalは、雪貴の卒業を待って
 活動をアクティブに開始。

 そのつもりで、居てくれ。

 隆雪の想いが詰まったAnsyalを、
 このまま終わらせるなんて出来ない。
 
 他のメンバーにも事務所にも、そのつもりで話を通す。

 だから……俺もその日に俺の全ての想いを詰めた
 一曲を編成したい。
 
 俺の過去から現在、未来に繋がる一曲。

 Ansyalの【星空の祈り】を受けて
 更に広がっていくAnsyal版【星空と君の手】 」



もう離すことのない君に誓って。



「託実さん。
 だったら託実さんのフレーズを前面尊重しますよ。
 
 その上で……俺も協力します。
 俺もAnsyalのメンバーですから」


特別室のベッドの上、
天井の硝子窓から星空が降り注ぐ。


眠り姫の目覚めを待ちながら
目覚めのプレゼントを生み出していく。



「百花。

 早く、目覚めなって。
 
 ほらっ、アンタこんなにも託実さんに
 愛されてんじゃない。

 何時までも……寝ぼすけしてんじゃないよ。
 
 流石の私も……これ以上は
 待てないんだからね」



百花の眠り続けるベッドに歩み寄って
今も眠り続ける百花に思いを吐露する唯ちゃん。



そんな唯ちゃんを雪貴がすぐに
優しく支えに行く。





百花……早く起きろよ。




心の中、呟きながら静かに愛器を爪弾く。



そのフレーズに即興アレンジで
雪貴がギターを重ねていく。


時に……、雪貴自身のフレーズで。

時に……隆雪の懐かしい癖のあるフレーズで。



懐かしいのに……ブレも戸惑いも
迷いもない……澄み切った音色でストレートに
刻み込んでくる雪貴の生まれ変わったギターの音色。



そんな時間を送りながら、
百花の目覚めを待ち続ける。



一日、一日が、
とても長い待つだけの時間。






……百花……。
 

その唇に目覚めのキスを
降らせるるまで君は
起きないつもりなの?





 

眠り続ける百花の傍に腰をおろして、
その淡い薄桃色の唇に、静かに唇を重ね合わせる。




命を注ぎ込むように……
語りかけるように。
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