星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
同じ夢?
お姉ちゃんが私を助けてくれた時?
お姉ちゃんは、お父さんやお母さん、
お祖父ちゃんの元にも出掛けてたの?
「そうじゃ。
夢の中で、理佳がずっといっとったぞ。
百花は私が守るから、
それが私が百花に出来る恩返し。
だから……お父さんや、お母さん、お祖父ちゃん。
皆も悲しまないで。
お祖母ちゃんも、百花が川を渡りそうになったら
追い返してやるって張り切ってたから」
お祖父ちゃんが教えてくれた話は、
凄く不思議だったけど、
それでも……お姉ちゃんが大好きな家族を守ってくれたのがわかって
凄く心の中が暖かくなった。
ふいにノック音が聴こえる。
「はいっ、どうぞ」
お母さんがそう言って招き入れたのは、
白衣姿の医師たち。
「裕真先生、宗成先生、薫子先生、
それに……裕先生……」
順番にお母さんが呟く名前。
白衣姿のその人たちは、
両親やお祖父ちゃんにお辞儀をすると、
私の眠るベッドの方へと近づいてきた。
「親父……おふくろ……。
それに……兄さんたちまで」
「百花さん、そのままでいいよ。
少し診察させて貰えるかい」
そう言うと、唯香の主治医だった人が
託実たちを私から遠ざけていく。
女の人がベッド周辺にカーテンをひいて囲む。
「百花さん、大変だったね。
でももう大丈夫だ。
運び込まれてきた時は、心配だったけど
順調に回復してるね」
「ベッドで眠ったままになってて体力が低下しているのと、
交通事故の際に、足を骨折しているからリハビリが必要になってくるかな。
診療計画が出来次第、百花さんの御両親を含めて説明していきます」
そう言って二人のお医者様は、
私の状態を診察しながら、優しく話しかけてくれた。
「えっと……お名前……」
お礼を言おうとしたのに、私の口から出てしまったのはそんな問いかけ。