星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
*
託実へ
この楽譜が貴方に届いた時、
私はもう託実の傍に居ることが
出来なくなってると思います。
託実、今まで有難う。
託実と過ごした時間は、
私にとっては、
夜明けのひと時のようで凄く優しい時間でした。
そんな託実との時間を
この夜想曲に織り込んで……。
君に奏でる夜想曲
世界でたった一人。
私が恋をした最愛の貴方へ
理佳
*
なぁ、理佳。
ずっと、こんな場所に閉じ込めてて悪かった。
でも……一人で開ける勇気もなかったんだ。
理佳が死んでしまった現実を
突きつけられるのが怖かったから。
気が付いたらもうこんなに
時間が過ぎてた。
けど今は、俺の隣には百花が居る。
理佳の大好きなモモがいる。
百花の手術中、あの屋上でお前がずっと
不安で潰れそうになる俺を支えてくれてたのは
何となく感じて取れた。
理佳はずっと、
俺たちのことを心配で見守り続けてくれたんだよな。
理佳が遺してくれた音楽も、
ゆっくりと俺と百花で受け止めていく。
後は……ずっと考えてたんだ。
理佳の為に俺がしてやれること。
それって、俺が理佳と関わった時間
その一年間をゆっくりと語ってやることかなって
今はそんな風にも思ってる。
今は、理佳のお墓行かないぞ。
次に行くときは、百花と二人で
報告を兼ねて顔を出すから……。
今はこの場所で……。