星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】


翌日は託実は仕事で不在。


唯香たちが来る夕方までは、まだまだ先。

午前中のリハビリを終えて、
病室でゴロゴロしてたら、突然の来客。


その人は……託実のお父さん。
確かお姉ちゃんの主治医だった、宗成先生と呼ばれてた人。

そしてその後ろには、
薫子先生と呼ばれてる託実のお母さん。


そして……雑誌で顔を見たことがある、
お祖父ちゃんが何度か一緒に仕事をしたことがある、
綾音姫龍【あやね きりゅう】さん。


嘘っ……。
思わぬ来客に私はベッドの上で固まる。



「百花ちゃん、大丈夫?
 緊張しなくていいよ。

 こっちは奥さんのお姉さんだから」


奥さんのお姉さん?

今、宗成先生サラっと凄いこと言いませんでしたか?

宗成先生の奥さんは、薫子先生。
薫子先生のお姉さんが、姫龍さんってことは……えぇーっ
姫龍さんは託実の伯母さん?


マジでっ。


待って待って。
記憶を整頓。

姫龍さんの今の苗字は、綾音家。
綾音家は、私の母校の名誉理事を務めてる一族。


託実……っては、どんな環境で育って来てるの。


名誉理事長夫妻の甥っ子って言うポジションだった
託実の存在に絶句。



「こんにちは。百花さん。
 百花さんもご存知かしら?喜多川会長とも何度か仕事をしているから。
 姉さん、こちら喜多川百花さん。

 理佳ちゃんの妹で、今の託実の可愛らしい彼女さん。

 っでいいのよね」


薫子先生は確認するように、おまけのように最後の一言を付けたす。


「喜多川会長とは懇意にさせて頂いています。
 綾音です」


少し独特の古風な口調で言葉を交わすKiryu。


「存じています。私も海神校の卒業生なので。
 綾音名誉理事長夫妻のことは、在学時から何度もお見かけしましたし
 姫龍さんの手がける着物のデザインとか、好きなんで雑誌とかも購入してたんです。

 お会いできて光栄です。
 後は託実の伯母様だなんて凄く驚きました」


初対面で緊張してるのに、お会いできた嬉しさの方が強くて
ベッドの上ではしゃいでしまう。
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