星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】



「そうだよね。
 ただでさえ、百花さんも神前悧羅出身でしょ。

 昂燿校の全学年全寮制、悧羅校の中等部まで寮生よりは
 マシにしても、海神校も初等部の間は寮生だものね。

 学校のシステムとはいえ、
 ずっと寮生活だと理佳と逢えないのも無理ないわ」


美加さんも卒業生として、
うちの学院のシステムを知ってるものとして会話を切りだす。


「なんて言うか……それもあるんだけど、
 それだけじゃないんです。

 両親をお姉ちゃんにとられたみたいな気がして、最初はお姉ちゃんが嫌いで
 その後は、お姉ちゃんの寂しさを知ったらどうしていいかわからなくて。

 傍に居たら、お姉ちゃんを傷つけてしまいそうで。
 だから両親をお姉ちゃんにあげるって、
 私、お祖父ちゃんの養子になっちゃった」


「理佳、ずっと気にしてたもの。
 私が最初に出逢った頃なんて、喧嘩ばっかだったわよ。
 理佳の病気が何かなんて、あの子が話さない限りわからないじゃい」

「そうだね。
 私もずっとお姉ちゃんの病気知らなかったの。
 私が知ったの、TVの録画してあった動画だったから」

「メイク・ア・ウィシュ?」

「うん。少し大きくなった時にPCで見つけてその番組の中で病名知った。
 お父さんたちは誰も病名、教えてくれなかったから。
 小さいって……それだけで、いろんなものから置き去りにされてたから」



なんて言うか……ずっと話せないままでいた、
お姉ちゃんとの時間の、確執、わだかまり。



そう言うものが少しずつはがれおちていくように、
お姉ちゃんを知る存在との出逢いは、
私のいろんな穴を埋めてくれる。


空白で、ボコボコばかりの私の心の時間。

お姉ちゃんとの時間が、
理佳さんや宝珠さんとの出逢いで、
ゆっくりと動きだすような気がした。




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