星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
「百花、有難う。
ちゃんと覚悟決めた。
今から雪貴に話すよ。
留学まで時間がないからビシビシ、レッスンつけないと。
隆雪さんのこととか、雪貴自身のことでピアノからはなれてる時間長かったから。
鬼モードで頑張ってくるよ」
唯香はそう言うと手土産の、
ドーナツを手渡して隣の建物へと帰って行った。
唯香が帰って暫くして、最愛の託実からの着信を告げる音が鳴り響く。
「もしもし託実、お疲れ様」
「百花、まだ仕事中だから手身近に用件だけ。
雪貴に一年間の留学の話が出た。
俺はアイツの兄貴分として、雪貴には留学を押す。
だけど問題は唯香ちゃんなんだ。
百花、唯香ちゃんを説得してやってくれないか?」
「大丈夫、託実から電話貰う前に唯香が訪ねてきたもん。
唯香は、弱虫じゃないから。
大丈夫、私も託実と一緒だよ。
それに唯香だって。
だから雪貴くんが不在の一年、私がしっかりと唯香を支えるって
決めたから。託実も協力してね」
親友にとっても、私たちにとっても新しい時間が
確実に流れようとしていた。