星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
新人画家さんたちも帰宅して、
朝から出勤しているスタッフもすでに業務終えて帰宅。
お祖父ちゃんは、会食へと出かけていった。
そんな閉店間際の画廊に来店されたお客様の訪れを告げる
お知らせチャイムが、教室へと響いた。
慌てて手作りスモックを脱いで、ジャケットを羽織ると
教室を出てギャラリーの方へと向かった。
すでに相本さんが事務所から姿を見せて
対応してくれている声が響いてた。
『プレゼント用を探してるんです。
知人が入院してるので、
病室のベッドサイドの壁に飾れる絵画を。
明るい、自然の光に溢れた作品を
探してるんですが』
その声が聞こえる方に、絵の具と格闘していた服装のまま
引き寄せられるように、てくてく歩いていく。
……やっぱり……。
託実だ。
嘘……。
夢?
私は自分の頬をムギュっとつねってみる。
痛っ!!
夢じゃない。
夢じゃないよ。
どうしよう、Ansyalの託実が
お祖父ちゃんの画廊に来たよ。
託実と言う引力に引き寄せられるように
ズルズルと歩いてしまった私は、
気が付くと……ギャラリーの方まで辿り着いていて。
「百花さん、百花さんっ。
お客様の前でなんて顔してらっしゃるんですか?
しかも……頬に……」
「頬に?」
えっ?
えっ?
慌てる私を見て
託実が声をかけてくる。