星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
17.雪貴と唯香 -託実-
満月が生まれて、4ヶ月が過ぎようとした
その年の秋。
宝珠姉さんを通して、DTVTの演奏会の招待状が届けられた。
昨年の夏休みの留学から1年と少し。
1年間の留学の集大成として、
惣領国臣が言い出した、DTVTとの演奏会。
その演奏会の場に、雪貴が出演するというものだった。
宝珠姉さんは、事務所の方をスタッフに任せて二週間前から
公演の準備の為に向こうに旅立っている。
*
「託実、悪いけど……招待客、全員宜しく。
多分、十夜辺りがチャータ便出すと思うけど
都合つかなかったら、裕真に連絡宜しく。
裕真には私がすでに伝えてるから」
「おいおいっ。
まぁ、いいけどさ」
「満月ちゃんは元気?
百花ちゃんにばっかに育児を押し付けないで、
ちゃんとやってるんでしょうね」
「その辺は心得てるよ。
それより、後ろで呼んでるぞ。
ほらっ、さっさと行けよ。
日本の方はちゃんとやっておくから」
*
そんな会話をして、ネット電話の回線を落とす。
そのまま十夜の方へと連絡した。