星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】


ホテルに一度立ち寄って、着替えを済ませた後
演奏会場となるホールへと移動していく。


その際も、十夜の海外支社のスタッフがいろいろと手を貸してくれる。


そのまま会場内のボックス席へ。
演奏が始まった後も、暫くはボックス席からステージを楽しむ。

だけどやがて、唯香ちゃんは雪貴の出番が近づくにつれてそわそわし始めて
ボックス席から一階へと移動してしまう。

満月を抱いたまま追いかける百花。

二人を追いかけるようにボックス席を出た俺は、
そのままDTVTの関係者である、アメジストで象られた刻印を見せて
一階の関係者席を手配する。


関係者席に静かに座った唯香ちゃん。
満月を抱いた百花、そしてその隣に着席する俺。




惣領国臣によって紹介されて登場した雪貴。



雪貴が演奏した曲は、隆雪の作曲したAnsyalの名曲。

天の調べをメインテーマに、
幾度となく変奏していく壮大なメロディー。


隆雪と雪貴。


唯香ちゃんを思い続けた二人のメッセージが
洪水の様に溢れ続ける、そんな慈愛に満ちるサウンドだった。



スタンディングオペイションに湧き上がる会場内。

急な歓声に驚いて泣き始める満月を
百花から抱き上げて、俺は一人会場を後にして十夜たちの待つ部屋へと戻って行った。





その翌日。

俺たちは何時もの生活に戻るため、
十夜のチャーター便で、日本へと帰国した。


留学を終えた雪貴も共に。




Ansyalのメンバーが国内に全員揃った
希望に満ちた一日。




その日から、第二のAnsyal始動に向けての
本格的な準備が始まって行く。

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