星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
19.夜明け -託実-
3月。
雪貴の卒業を待って、
行われる第2期Ansyal始動。
雪貴の卒業式と同じ日に、全国一斉に販売させた
最新アルバム「星空と君の手」。
百花の描いた絵画を表紙のジャケットに、
中の冊子に至るまで、百花の絵を取り入れて完成させた1枚。
メンバーの名前には、既存のAnsyalメンバーにプラスして
新たに、隆雪の名前を刻み込む。
specialThanksと綴られた、一番最後には
メンバーそれぞれを支え続ける彼女の名前を刻み込む。
俺に至っては、
百花・満月・理佳と三人の名前を刻ませて貰った。
発売日当日から沢山、各店舗に流通する新譜。
系列店舗から、売れ行き情報の速報を随時聞きながら
俺たちは、再始動に向けての最終調整に入る。
翌、四月のLIVE当日。
待ち合わせをしたわけでもないのに、
それぞれが姿を見せたのは、隆雪が眠るお墓。
宮向井家と綴られた、先祖代々が眠り続けるその場所で
静かに眠りについた隆雪。
ゆっくりと日の出が始まるそんな時間に、
俺はこの場所を訪ねていた。