星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】


俺たちの母校は、祭り好きのテスト好き。

だけどどんな学校行事にも、
テストの成績によっては一切の参加が認められない。

Ansyalの仕事で、アイツらの今を邪魔したくない。
そんな風にも思うんだ。


ただでさえ雪貴は、理事長である一綺兄さんに掛け合いながら
出席日数が足りないようなことにならないように調整しつつ、
計算して早退、欠席させて負荷をかけてる。


だからこそ、学生にとって大切な時間は、
アイツには学業を優先させてやりたかった。


アイツはTakaであると共にまだ学生なんだ。


そんな思いの中で過ごしづけた時間。





夏休み……。

俺の一年において、もっとも苦手とする
いろんなものが詰まりすぎた時間。

少しでも立ち止まると、理佳のことばかり考えてしまう俺は
今あるスケジュールに没頭する。

7月中は、FC旅行の準備よろしくスタジオに缶詰状態。


そして迎えた八月、FC旅行当日。



昨夜、早めに切り上げて解散し、
俺は何時もの様に報告がてら、理佳のもとを訪ねる。


陽が落ちた墓地。

だけど……Ansyalとして、何かをする時は
アイツに報告しながら、成功を祈るのが
何時の間にか習慣になってた。



グランドピアノの形をした墓石。


そこに続けられている楽譜を辿るように
視線を向ける。


出逢ったあの頃は、五線譜【おたまじゃくし】なんて
全く読めなくて、何時も理佳をからかってばかりだった。

そんな俺も音楽と携わるようになって、
今では譜読みはお手の物だ。


その墓石に綴られているのは、
理佳が妹の為に綴った一曲。



偶然か必然かなんてわかんねぇけど、
それでもその楽譜が刻まれてるってことは、
理佳の想いが届いたって思っていいのかな……なんて、
アイツに変わって考える。


手早く草を抜いて、持ってきた花を飾ると
俺はアイツの墓石の前に腰をおろした。

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