星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
鏡に映るボロボロの情けない私自身。
靴を綺麗に履きなおすことも出来ず、
自室へと戻ると、
夜遅いにもかかわらずチャイムを鳴らした。
こんなに夜遅くにごめん、唯。
でも早く起きて。
早く、私を部屋の中に入れて。
ちょっぴり寝ぼけ気味の唯香が中から扉を開けてくれる。
思わず唯香に抱きつく私。
驚いたような素振りで私を抱き返す唯香。
「百花、どうしたの?」
「ごめん、今帰ってきたの。
少しでいいからこうさせて」
そう呟いた私に唯香は部屋のドアを閉めてカギをかけると
ベッドの方に連れて行ってくれる。
ごめん、唯香。
何も今は言えないよ。
どうやって言えばいいのかわからないの。
ただ私の唇には、
今も残る託実の感触・ぬくもり。
夢の時間はゆっくりと過ぎて
シンデレラはいつもの日常に戻っていく。
……託実……。