愛してるの伝え方
「すごいでしょ? これぞまさしく愛の力だよね!」

堂々と100点と書かれている保健体育のテスト。

瀬戸くんが、100点?

「うそ、瀬戸が100点なんて!
あたしでさえ100点なんてとったことないのに!」

ショックを受けている藤岡さんは学年一位の成績を誇る。

「全集中力を唯一まともな成績の保健体育に注ぎ込んだんだ。
他の教科はことごとく赤点だし補習も受けなきゃならないけど悔いはないよ!」

心から嬉しそうに、にこやかに言った。

今まで、なんだかんだで赤点はギリギリ回避していた瀬戸くん。
そんな彼がここまで頑張ってまで叶えたい願いというのは何なのだろうか。

…正直、そんな約束をしてしまった自分を悔やんだ。


「…お願い事、言ってもいい?」

「一度受けた約束ですし。私にできることなら何でもしましょう」

そわそわする。私も瀬戸くんも。

一度大きく呼吸をして、瀬戸くんは口を開いた。


「俺と花火大会に行ってください!」

「……はい?」

「あ、やっぱりダメ!?
ダメなら……えっと、今日手を繋いで帰りたい!」

瀬戸くんの顔は真っ赤。
えっと…花火?

私含め、一緒に聞いていた藤岡さんも鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。
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