愛してるの伝え方

「……瀬戸くん?」

遅かったみたいだ。
瀬戸くんは私を探しに行ってしまったのかもしれない。

「すいません。あの、さっきここでヨーヨー釣ってた背の高い男の子、どっちに行きましたか?」

機嫌のよくなった屋台のおじさんに尋ねた。
おじさんは生気を取り戻している。

「ああ、さっきの子ね。
慌てて境内の方に走って行ったよー」

「…ありがとうございます」

境内の方へ向かえば出会えるだろうか。

あぁもう。またはぐれてしまった。





携帯には当然、瀬戸くんの連絡先なんてない。

この人の多い中、探すしかないみたいだ。
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