愛してるの伝え方
足は痛いし浴衣や人の熱気で暑いし。
正直もう歩きたくない。
それでも歩みを止めないのは、人の波に流されているから。
そして、彼も私を探してくれているはずだから。
とりあえず、これから人と出かける時は連絡先を聞いてからにしようと、心に決めた。
そうすればきっと、もう少し楽に探せたはずだ。
「あ」
そんな風に後悔していると、少し遠くの人混みの中に身長の高い男性の後ろ姿が見えた。
あの明るい色の髪は多分、瀬戸くんだと思う。
「瀬戸くん…」
人を掻き分けながら、ゆっくりと、着実に近付く。
瀬戸くんの声が聞こえるくらい近くに来て、やっとその人物が瀬戸くんだと確信した。
……だけど。